インド舞踊のコラム


2018年、今年もどうぞよろしくお願いします。
みなさまにとってもすばらしい年になりますように。


さて、インド舞踊とヨガを絡めてコラムを書いてほしいと頼まれ、書いてみました。
感覚的なことを言語化するのが苦手な私。
本当はもっと深いことがあるのだろうと思いつつ、自分の思いを綴ってみました。
そしてせっかく書いたので、、ここにも載せてみます。

インド舞踊が日本の方にも身近になっていくことを願いつつ・・・

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南インド古典舞踊と、ヨガについて。

踊るヨガ、といわれる
「バラタナティヤム」

 じりじりと大地を焦がす日射し、クラクションの合唱と飛びかう人の声、目に飛び込んでくる色とりどりのサリー。南インド東海岸にあるチェンナイは全てがエネルギッシュな町。そんな中人々は足繁く寺院に通い、一心に祈りを捧げます。ジャスミンの花飾りを髪にさして手を合わせる女性、額を地につけて祈る男性。寺院の中には静謐さがあふれ、その篤い信仰心に都会の喧騒をしばし忘れます。

 「踊るヨガ」と言われるインド古典舞踊は、そんなヒンドゥーの神様への捧げものとして生まれました。寺院の中で神に仕える女性によって踊られていたものが、現代では舞台芸術として親しまれています。私がしている南インドの舞踊「バラタナティヤム」は直線的・幾何学的でダイナミックな動きが特徴。腰を落として地を踏み鳴らし、ムドラーという手の印や仕草によって、神の世界をいきいきと描き出していきます。足で刻むリズムは宇宙のリズム。低く落とした体勢から四肢に伝わったエネルギーが地を鳴らします。

 インド舞踊は高度な技が多く、鍛えぬいた心身を極限まで解き放つことが神への捧げものになり、神の世界へ近づく手立てになります。また、めまぐるしく変わる型の中で、踊り手は否応なしに自分の体に集中することになります。心は自然と静かになり、「今ここ」だけが残っていくのです。そして、踊りは喜び。笑顔で踊ることで全身の細胞が喜び、エネルギーがさらに満ちてきます。観客はそんな踊り手と一体になり、全てがひとつになっていきます。
 「踊るヨガ」と言われるのは、身ごなしの類似性もあるでしょうが、そんな境地や神秘性もいうのではないかと思います。


踊りは外へ、ヨガは内面へ
全てが私の今を形づくる

 私がヨガを始めたのはインド舞踊がきっかけ。舞踊のための体づくりや体のケアにと、ふわりと始めたヨガですが、今ではその精神性も私の道しるべです。踊りは外へ表現するもの、ヨガは内面と向き合うもの、そんな違いはあるけれど、静と動、陰と陽、全てが混ざり合い、絶妙なバランスで私を形づくっています。
 私はたまたまインド舞踊に出合い、人生がガラリと変わってしまいました。今もインド舞踊そのもの、また、そこから広がる世界にどっぷりつかり、その輝きに魅せられています。
 

感謝、伊藤ひかるさん


写真家の伊藤ひかるさんが亡くなられました。
ボクシング、アメフト、フラメンコ、ベリーダンス、阿波踊り、インド舞踊、風景など、数多くの写真を撮り活躍されてきました。

そして私が初めて座・高円寺でソロ公演をした2010年から、いつもソロ公演その他の写真を撮ってくださったのが伊藤さんです。

生きた写真を撮りたいと、私の一挙一動、呼吸のひとつひとつを追い続けてくださいました。


今年は伊藤さんのご提案でフォトブックも作成しました。
最後にやりとりをしたのは、ほんのひと月前。
10月末にお会いした時には、古くから撮っている阿波踊りの子が結婚し、その式の写真を頼まれたのだと嬉しそうに話してらっしゃいました。

突然こんな日が来るとは思わなかったけれど、最期まで好きなことを貫いてニコニコと生きてらした姿を思うと、改めて深い尊敬の念を覚えます。


なぜか私の踊りをとても気に入ってくださって、大げさと思えるほど褒めてくださって、
でもそんな言葉にいつも励まされていました。

そんな温かい存在を失って、もう二度とお話しすることもできないのだと思うと悲しくてなりません。

でも伊藤さんは私がソロ公演に挑戦することをいつも応援してくれました。
そんな伊藤さんの気持ちを胸に踊り続けていけば、きっとどこかで喜んでくださるかなぁ。
これからも見守ってもらえる気がします。


伊藤さんのご冥福をお祈りし、今まで撮っていただいたソロ公演の写真の中から1枚ずつ、こちらに載せたいと思います。

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2010.10「金色一夜」


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2012.6「舞になる」


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2015.6「胡蝶の夢」


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2017.10「宙を翔ける」

11/3南相馬あきいち、11/4楢葉町


今年で6回目となる南相馬あきいちまつりでのインド舞踊。
今回は、2015年9月に避難指示が解除された楢葉町でも踊ります。

お近くの方がいらしたら、どうぞお知らせください。


 11月3日(金・文化の日) 復興2017 あきいち in 福島県南相馬市

<野外舞台>
13:00~13:45(予定)
旭公園  南相馬市原町区栄町3丁目

<体験コーナー>
日本でも2013年に公開されたインド映画「きっとうまくいく(邦題)”3 idiots”」の主題歌に合わせて踊ります。サビの部分はみなさんもご一緒に。
時間・場所等の詳しい情報は、原町商店連合会公式サイトよりご覧下さい。
http://haramachishoren.com/


 11月4日(土) 楢葉町 天神岬温泉 しおかぜ荘
14:00~15:30
日帰り温泉施設への入場料が必要となります。
http://naraha-tenjin.net/shiokazesou/guide-in-facilities


 出演
山元 彩子
http://lakshana-japan.com/
堀 友紀子
http://yukiyamini.com/
宮本 博
http://danceinandout.com/


 山元彩子よりのメッセージ

震災の翌年から再開された、実りの季節を祝う「あきいち」。毎年、人出も回復傾向にあり、盛り上がりを見せています。私達もご縁あり2012年から毎年、参加させて頂いております。

あきいちは、11月3日文化の日に開催されますが、20年以上、雨が降った事がないそうです。過去5回も、前日や祭の翌日の大雨に見舞われた事はありますが、祭当日は、驚くほどの気持ち良い秋晴れの開催となり、東北の秋の大空の下、皆さんの笑顔の前で踊る事が出来ました。今年もきっと最高のお祭りとなります。今回は、祭の規模が拡大され、出演者も多いそうです。

ヌリッティヤ ラクシャナ ジャパンからは、昨年同様、山元彩子、堀友紀子、宮本博の 3名が参加します。舞台出演は、午後1時10分から40分間、サブステージでは、ヒンディー映画《きっと うまくいく》のテーマ曲を踊ります。皆さんの参加体験コーナーもあります。

また、いわき市の仮設住宅で知り合った方々が楢葉町に帰還されたそうです。
11月4日には楢葉町でも踊らせて頂く事になりました!
益々、張り切って踊ってきます!

被災地復興のひとこまです。多くの方々に告知することが、ほんの少しの支援になると思います。お知り合いで、東北在住の方、復興に協力したい方、インド舞踊に興味のある方がいましたら、お知らせ頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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感謝


ソロ公演「宙(そら)を翔ける」、おかげさまで無事に終わりました。

冷たい雨の中 高円寺までお越しくださった方、力を貸して支えてくださった方、
応援してくださった方がたくさんいて、言葉では言い尽くせないくらいの力をいただきました。


大事に大事に心を込めて準備を重ねてきて、一夜限りで散ってしまう。
そんな贅沢さを愛し、もらったものの大きさに胸を熱くしています。


今後もみなさまにお楽しみいただけるよう、
よりいっそうインド舞踊と向き合い、精進していきます。
どうぞよろしくお願い致します。

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物販のご案内

公演前で饒舌になっています。。

今度の公演ではまちかど倶楽部がお店を出してくれます。

インドのかわいい雑貨、実用的な雑貨のほか、
まちかど倶楽部セレクションの豊富なCDなど。

CDは当日の公演の演目の中にあるラーガ(旋律・曲調)のものも用意してくれます。
試聴もできますので、どんどんどうぞ。


そして、バラタナティヤムって現地ではどんな風に踊られてるの?と知りたいという方には、
「ひよっこダンサー、はじめの一歩 」という本が。

バラタナティヤムが生まれた南インドってどういうところ?と気になる方には
「南インドカルチャー見聞録」という本もございますよ。

どちらもビジュアル的にも楽しい本で、おすすめです。

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フォトブック発売(!)

舞台でのかけがえのない瞬間を切り撮って素敵な写真に残してくださる、
写真家の伊藤ひかるさん。

今回の公演のチラシの写真も伊藤さんが撮ってくださったものです。
伊藤さんとのお付き合いも長くなりました。


そんな伊藤さんの提案で、この度フォトブックを作ることになりました。
今度の公演では、はずかしながら販売もいたします。


フォトブック制作は、PUBLICA(パブリカ)。https://publica.photo/
今はアプリやラインなどでも手軽にフォトブックが作れるんですね。
そしてデータの時代の中で紙の大切さが見直され、流行ってるんだとか。


フォトブックは2年前のソロ公演「胡蝶の夢」を切りぬいたものになります。


私もちょこっとがんばってページのデザインをしてみました(写真配置しただけだけど)。
どうぞお手に取ってご覧下さい。

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こちらは前々回「舞になる」のときのもの。

シリバラジクーポン


公演の協賛をしてくれている南インド料理屋「シリバラジ」
http://sri-balaji.com/

中目黒と水道橋(神保町)にあってファンも多く、
中目黒店は内装がピンクで、最近は「インスタ映え」というジャンルでも人気があるのだとか。

オーナーもマネージャーさんもみんな気がよくて、私もお世話になりっぱなしです。


今回の公演では、来てくださったみなさまに、シリバラジで使えるお得なクーポンをお配りできることになりました。


お楽しみいただけますように

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「宙を翔ける」曲紹介 その4『ティッラーナ』


先週末のナマステ・インディアでかなりリフレッシュした私です。

さて、ソロ公演の演目について書き綴ってきましたが、最後を飾るティッラーナをご紹介します。


ティッラーナは歓喜の舞。

特に物語性を持たない身体表現が中心の演目で、
バラタナティヤムの型の中で、幾重にも変化するリズムを刻んでいきます。

ダンサーは持てる力を全て出しきり、大輪の花を散らして舞台の終演を迎えます。



今回のティッラーナはKathanakutohalam(カタナクトゥーハラム)という旋律のもの。

華やかで軽快な曲調で、心身が浮き立つような明快さ。
時折混ざる早口言葉みたいなのも小気味よい。

アビナヤ(感情表現)のところのメロディーもとても美しく、
曲を耳にしただけで、幸せな心持ちになります。



この曲も新曲で、ずっと憧れていた曲。

でもbigアイテムと言われていて、習うのにはまだ早いと言われたこともありました。
教わってみると確かにbigで、リズムが難解だったりスピードが速かったり、ギュッとたくさんステップが入っていたり。

大作ヴァルナムと合わせ、まさしく「持てる力を全て出しきり・・・」になるのでは、と思ったりもしています。



でも本当にすごい人って難しさとか大変さを感じさせずに人を楽しませる。
私もそんな踊り手になりたいと強く願います。


そして今までいろいろな紹介をしてきて、
インド舞踊のあれこれを知ってもらうのはもちろん嬉しいけれど、
でも、そんな予備知識を抜きにしても純粋に楽しんでもらえるともっといいな~と思います。


10月6日、どうぞゆったりと快適にお楽しみください。

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9/23.24 ナマステ・インディア

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みんながソワソワ楽しみにしているナマステ・インディア。

代々木公園で行われる大規模なインドフェスティバルです。
出店あり、屋台あり、ステージありと、とっても賑わう2日間。
http://www.indofestival.com/

今年は今週末、9月23日(土)、24日(日)に開催されます。


私は今年も土・日両日、違う種類の踊りで出演します。

23日(土)は16:00~16:15
南インド古典舞踊「バラタナティヤム」に
ヌリッティヤ ラクシャナ ジャパンのメンバーとして

24日(日)は13:10~13:25
南西インド、ケーララのフォークダンス「ティルワーティラカリ」に
プラクルティのメンバーとして


どこかに出かけたいなぁと思われたらぜひ
 

「宙を翔ける」曲紹介 その3『アドゥブン ソルワル』

ソロ公演の演目紹介も後半へ突入です。

メインアイテム「ヴァルナム」のあとは、ちょっとしたブレイク。

3曲目の「パダム」という種類の曲は、肩の力をぬいて気楽にみていただける演目です。
(もちろんそれ以外の演目もリラックスしてお楽しみください)

「パダム」というのは、演劇のようにちょっとした小話を演じるアイテムです。


今回のパダム「アドゥブン ソルワル」は、ヴァルナムで取り上げられたムルガン神の妻が主人公のお話。
ムルガン神は一転して立場が悪くなってしまいます。


事の発端はムルガン神の浮気。

「あなたの夫ムルガン神の浮気相手が、調子に乗ってあれこれ吹聴しているわよ」
と知人が忠告に来ます。
でもそれは、人の噂にありがちなおもしろ半分。

ムルガンの妻は、凛として気高くふるまいます。
「確かに彼女の行いは度が過ぎているわ。
でも悪いのは彼女ではなく、私の夫ムルガンよ。
ほうっておいてちょうだい。」


でも、内心では彼女のことが気にかかっている妻。

「彼女はいつもみじめななりをしていたのに、今ではどうでしょう。
私の家の隣に3階建ての家を建てて、美しいベッドをあつらえ、
高価なサリーを身にまとって、召使いまで抱える身なのよ。」

「以前はお金もなくネックレスの一つさえつけられなかったのに、
今ではジュエリーをじゃらじゃらとつけ、牛を飼って絞りたてのミルクまで飲んでいるらしいわ。」

「でも彼女の過ちは何?もうほうっておいてちょうだい」


この「アドゥブン ソルワル」は新曲。
内心では様々な思いが渦巻いてフツフツしているのに、それを隠して気丈にふるまう。
そんな心の内をどう表現できるかなぁと思っています。

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